強制不妊訴訟 不当判決にともに立ち向かうプロジェクト

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【2019年宮城県議選】県条例・旧優生保護法『How do you think?』回答結果・分析

この記事では、当プロジェクトが宮城県議会議員選挙にあたって実施した公開アンケート調査の回答結果とその分析を掲載します。

 

アンケートの概要はこちら↓

confront-thk.hatenablog.com

 

 1.プロジェクトの活動について

〇このアンケートの目的と、本プロジェクトにおけるその位置付け

 厚生労働省の「衛生年報」などによると、宮城県では法律の施行期間内に1,406件の優生手術が実施されたことが分かっており、全国で北海道に次ぐ二番目の実施数です。かつ、強制不妊訴訟が全国で初めて行われたのも宮城県です。毎回の裁判において裁判所が超満員になるほど、優生保護法は社会的に関心が高い問題といえるため、特にここ宮城県において、優生保護法は選挙の大きな争点にもなると考えられます。

 

〇アンケートを実施して

 回答数が少なかったため、すべての候補者の考えは明らかになりませんでした。一方で、回答数が極端に少なかったことから、候補者の優生保護法と県条例に対する関心が高くなかったともいえるのではないでしょうか。

 回答結果としては、ご回答いただいた候補者の大半が優生保護法に関し宮城県による人権侵害があったと認識しており、被害実態の把握と被害回復が必要であるとの考えをお持ちでした。また、強制不妊手術被害者に対する一時金支給に際する県の個別通知については、前向きな意見が多数ありました。

 また、質問5の自由記述の内容からは、優生思想を克服し、差別や人権侵害が決して許されることのない社会を作っていく必要があると認識されていることが伺えました。そのうえで、旧優生保護法の実態調査の必要性を掲げる方々が見られました。また、障害者との対話のもとでの医療・福祉のあり方の見直し、差別顕在化に向けた差別相談センターの設置、人権教育・啓発活動なども挙げられました。更には、多様性を尊重する社会を志向していることが伺えました。

 

〇アンケート結果の公開、広報

 アンケート結果につきましては、本記者会見にて報道機関の皆様に対し公表致します。また、本プロジェクトのブログでも公開致します。

 

〇今後に向けて

 本アンケートでは被害者の方の被害回復に前向きな意見が多かったことから、今後県議会が行政に対して積極的に働きかけをしていくことが期待されます。私たちも宮城県の一学生団体としてその取り組みを注視し後押しして参ります。

 また、本件における県民の関心を更に高める必要があります。そのための取り組みの一環として署名活動や啓発に努めて参ります。

 

 

2.調査の回答状況について

〇立候補している候補者の返答について

 宮城県議会議員選挙に出馬している79名のうち69名にアンケートを依頼しました(なお、10名については連絡先不明などの理由で依頼しませんでした)。そのうち以下の15名からご回答いただきました。

 

〇ご回答いただいた候補者(敬称略)

遊佐 美由紀  青葉  立憲民主党

大草 芳江   青葉  無所属

菅間 進    青葉  無所属

金田 基    青葉  共産党

福島 一恵   若林  共産党

角野 達也   太白  共産党

岸田 清実   太白  社民党

渡辺 拓    太白  自由民主党

大内 真理   宮城野 共産党

中嶋 廉    泉   共産党

小畑 仁子   泉   立憲民主党

内藤 隆司   大崎  共産党

高橋 啓    加美  無所属

天下 みゆき  塩釜  共産党

太田 稔郎   名取  立憲民主党

 

 

3.質問の内容と調査結果の概要について

 各候補者にお送りした質問事項とその返答は以下の通りです。(敬称略)

 

1.旧優生保護法における強制不妊手術について

質問1 宮城県は「愛の10万人運動」を展開するなど、県が先頭に立って地域ぐるみで旧優生保護法を推進していました。このことついて、どのようにお考えですか。(回答者15名)

⬜ 当時は合法だったので県としての問題はない

→1名:大草氏(青葉・無)

⬜ 県による人権侵害があったと認識している

→14名

 

 

2.一時金支給法について

質問2-1 一時金の請求があった際、都道府県が行う請求に係わる調査について、どのようにお考えですか。(回答者15名)

⬜ 都道府県が保有する記録以外にも、関係機関(医療機関福祉施設、市町村等)記録 の調査や事実の聴取を行うべきだ

→12名

⬜ プライバシーに配慮するため、関係機関の記録の調査や事実の聴取を行うべきではない

→2名:大草氏(青葉・無)、小畑氏(泉・立)

その他の意見として、角野氏(太白・共)「請求があった場合には、ご本人、家族の申し出を尊重して判断すべきである」

 

 

質問2-2 一時金支給法では、被害者への個別通知はしないことになっていますが、兵庫県などでは都道府県として個別通知をすると発表しています。宮城県ではどのようにするべきだとお考えですか。

(回答者13名、無回答:金田氏・角野氏)

⬜ プライバシーに十分配慮したうえで個別通知をするべきである

→11名

⬜ プライバシーに配慮して個別通知をするべきではない

→2名:大草氏(青葉・無)、小畑氏(泉・立)

 

 

3.仙台地裁での裁判について

質問3-1 仙台地裁の判決について、どのようにお考えですか。(回答者14名、無回答:金田)

⬜ 公正な判決であった

→2名:大草氏(青葉・無)、渡辺氏(太白・自)「司法としては立法府の裁量を尊重せざるを得ないとの判断があるのでしょう」

⬜ 公正な判決とはいえない

→12名

 

 

質問3-2 旧優生保護法違憲であったとの判決を受け、一時金支給法の補償水準を引き上げるべきだとお考えですか。(回答者15名)

⬜ 補償水準を引き上げるべきだ

→15名:渡辺氏(太白・自)「補償水準を引き上げる余地はあると思うが多角的検討を要する」

⬜ 補償水準はこのままで良い

→0名

 

 

4.「みやぎ障害者プラン」について

質問4-1  手話言語条例の制定についての認識を伺います。(回答者15名)

⬜ 条例について以前から知っていて(取り組んでいて)今後も制定に向けて取り組みたい

→14名

⬜ 条例については知らなかった(このアンケートで知った)が制定に向けて取り組みたい

→1名:大草氏(青葉・無)

⬜ 条例について以前から知っていたが制定に向けて取り組むつもりはない・必要がないと考える

→0名

⬜ 条例について知らなかったし、取り組もうとは思わない・必要がないと思う

→0名

 

 

質問4-2 障害者差別禁止条例の制定についての認識を伺います。(回答者15名)

⬜ 条例について以前から知っていて(取り組んでいて)今後も制定に向けて取り組みたい

→14名

⬜ 条例については知らなかった(このアンケートで知った)が制定に向けて取り組みたい

→1名:大草氏(青葉・無)

⬜ 条例について以前から知っていたが制定に向けて取り組むつもりはない・必要がないと考える

→0名

⬜ 条例について知らなかったし、取り組もうとは思わない・必要がないと思う

→0名

 

 

質問4-3 「障害のある人もない人も共生する社会づくり条例(仮称)」では、差別、もしくは不当な差別の定義をせず、別途ガイドライン等の策定を検討しています。(回答者15名)

⬜ 差別の定義をした方が良い

→12名

⬜ 差別の定義はしないほうが良い

→3名:大草氏(青葉・無)、小畑氏(泉・立)、渡辺氏(太白・自)「法意の解釈の余地を残したほうがより実態に即した救済が可能になるとも考え得る」

 

 

質問4-4  手話言語条例や障害者差別禁止条例制定に向け、多様な障害者の多数の声が県に広く聞かれることが求められている。また、条例制定後には障害者によるアセスメントをし、差別のない社会が実現されているか確認していくことを求める声もあります。(回答者15名)

⬜ 県は障害をもつ当事者や関係者の声を広く多く聞くべきだ

→15名

⬜ 県が障害をもつ当事者の声を聞く必要はない

→0名

 

 

質問5 今後、宮城県、そして日本社会において優生思想を克服していくためにはどのようなことが必要であるとお考えでしょうか。

 

〇質問5に対する各候補者の回答

 

遊佐氏(青葉・立)   

幼児期、義務教育、高校教育、高等教育、生涯学習まで全ての世代で一人ひとりを大切にする人権教育を行うこと。一人ひとりの個別的なニーズ応えるために、自己決定を尊重し、大切に支え、一人ひとり必要な支援を提供すること。そのために、保健、医療、介護、子育て、障がいの縦割りの行政を見直すことが必要である。保健 福祉 医療行政の施策に重点的に取り組むべきである。

 

菅間氏(青葉・無)   

条例の実践を図るための啓蒙活動及び障害をもつ当事者や関係者との定期的な意見・情報交換。

 

金田氏(青葉・共)

国や宮城県の「愛の十万人運動」などの優生保護法を進めたことの検証を行い、再発防止の姿勢を明確にすること。さらに国による謝罪と一時金の充実をすることが求められる。そうしたことを出発点として「二度とこのようなことを絶対にゆるさない」ことを県も表明することが大切である。

 

大草氏(青葉・無)   

当時は合法といえども、国によって個人の人権が著しく侵害されたことは非常に問題であり、国はその権利回復のために真摯に努めるべきである。また、国が人権を侵害する法律を作った事実自体が、優性思想のような差別を肯定する社会を作ったともいえるため、国はその誤りを認めたうえで、国民一人ひとりが尊重される日本社会を作るべきである。また、私たちの個人一人ひとりの意識としては、多様性の理解が必要不可欠であるため、学校教育段階から適切な指導がなされるべきと考える。

 

福島氏(若林・共)

障がいを持っている当事者や関係者の声を広く多く設けることや人権、リプロダクティブヘルス&ライツ、ジェンダー平等の学習、啓発を強めること。差別相談センターを身近に設置して、差別を顕在化、可視化することが必要。

 

 

 

 

角野氏(太白・共)   

優生保護法については、当時の日本共産党の認識に誤りがあったと考えています。優生思想をあらゆる場面で克服していくためには、あらゆる差別を克服する立場に立って、あらゆる分野で個人の尊厳が尊重されているか、生きにくさを残していないかチェックしていくことが求められていると考える。

 

岸田氏(太白・社)   

どんなハンディをもっていても共に生きていける環境を作ることが重要だ。

 

渡辺氏(太白・自)   

回答なし

 

大内氏(宮城野・共)

回答なし

 

中嶋氏(泉・共)

相模原市で障害者が多数殺傷された事件の後の2016年9月議会で、知事に以下のような趣旨を提案し質問しました。

人権と多様性を尊重する社会を目指す一貫した努力が大事だと思います。

優生思想の誤った考え方を批判する必要があります。同時に、障害のある人、貧困、少数民族、移民など、さまざまな理由で不利な立場に置かれている人々を排除するのではなく、受け入れて支援する気風と諸制度を一つずつ拡充する努力を重ねていく必要があると思います。

 

小畑氏(泉・立)   

社会のあらゆる場面で「多様性」を尊重する意識を構成する機会を設けるべきではないでしょうか。更に「憲法」の理念を学び、尊ぶ機会が「教育」の場面で必要ではないでしょうか。1つの命に1つの人権、そして全ての人が平等に幸福追求権を有する、保証することを根付かせていきたいです。

 

内藤氏(大崎・共)

国や宮城県の「愛の10万人運動」などの優生保護法をすすめた検証を行い、再発防止の姿勢を明確にすること。さらに国による謝罪と一時金を充実することが求められている。そうしたことを出発点にして、「二度とこのようなことを絶対に許さない」ことを県も国も表明することが大切であると考える。

 

高橋氏(加美・無)

回答なし

 

天下氏(塩釜・共)   

回答なし

 

太田氏(名取・立)   

何人も差別なく幸福を追求することができ、国民一人ひとりの生きがいが真に尊重される社会となるよう努めたい。

 

 

以上